横浜を拠点に、三浦半島へ
冬のライフスタイルツアーに出発

日本の港町は私がとっても好きな旅先だ。日本が開国したころ重要な地位を占めた「開港五都市」とは北から函館、新潟、横浜、神戸、長崎だが、いずれも訪れたことがある。中でも東京に近く、開港からちょうど満160年を迎えた横浜は、いつの間にかいちばん多く訪れた街になっている。

Day 1 - 11:00AM 馬車道十番館

プロスタイル旅館横浜馬車道は馬車道に位置する新しいデザインホテルで、渋谷から東急東横線・みなとみらい線でわずか40分ほど、交通はとても便利だ。馬車道十番館は、ちょうどプロスタイル旅館横浜馬車道の隣の路地にある、文明開化の雰囲気を残す赤レンガ建築。入り口には当時、馬の水飲み場として使っていた水槽がある。伝統的な西洋菓子のクッキー『ビスカウト』のギフトボックスを手土産に買ってもいい。

11:30AM 馬車道散策

馬車道というのは、横浜でその昔、港から関所に至る道として開発されたレンガ舗装の道。左右にはきれいに保存された近代洋風建築がたくさんあって鑑賞もできる。旧横浜正金銀行が前身の神奈川県立歴史博物館や、旧第一銀行横浜支店のYCC ヨコハマ創造都市センターなど、歴史的建築物好きは必見の地である。

0:00PM Cafe OMNIBUS

馬車道駅の出口そばにあり、Y字路の角に立つ三角の建物。正面には古代ローマのトスカナ式オーダーの柱に支えられたバルコニーが見え、ロビーにも8本の柱が並んで勇壮な雰囲気だ。旧第一銀行横浜支店が前身のYCC ヨコハマ創造都市センターで、1階のロビーを改造したカフェ オムニバスでコーヒーを飲み、90年の歴史を持つ洋館のクラシックなデザインを鑑賞することをお勧めする。

1:00PM PEANUTS DINERでランチ

橋を渡るとショッピングモールのMARINE & WALK YOKOHAMAへ。目的は大人気のピーナツダイナーだ!中目黒のPEANUTS Cafeに続いて、スヌーピーの飲食店第二弾が横浜にオープン。スヌーピーをテーマにした食べ放題メニューに、アメリカ西海岸風のグッズもたくさん。大人でもわれを忘れて「かわいい!」を連発しそう。

3:00PM プロスタイル旅館横浜馬車道にチェックイン

2018年8月にオープンしたプロスタイル旅館横浜馬車道は、馬車道ならではの和洋が融合した特色を踏襲、「日本の粋」と「西洋の知恵」が共存するデザインコンセプトを掲げている。優雅で落ち着いた大人の空間となっていて、入るなり横浜という街ならではの魅力を感じることができる。 馬車道が開通したころのガス灯のイメージを表現するため、館内の照明は明るさを抑えておぼろな雰囲気を醸し出している。同じ理由で室内のデザインもほの暗いスモーキーなカラーが基調となっている。

ロビーにはバーのような長いカウンターがあり、カウンター越しの壁にはダークな色合いの書棚があり、横浜のナイトライフを象徴するようなジャズのレコード、丁寧な装丁の写真集が並べられている。またストリーミング配信で音楽の聞ける専用タブレットもある。レザーの止まり木に身なりの整ったエレガントな紳士が腰掛けているのが目に浮かぶ。空間にはジャズが流れ、訪れる人を迎えてくれる。

スタンダードな客室はさらに嬉しい驚き。いずれも「月」の名が付けられ、全室異なる素材の黒い壁紙でダークな空間が作られている。控えめなライトに、まるで月の光が漏れ入ってくるような格子窓、わが家に帰ったような雰囲気に抱かれるよう。玄関、障子、格子窓は伝統的な日本家屋の設計理念に立ち戻ったもので、和風のベッドが畳の上に並べられているが、枕元には今人気のスマートフォン"handy"やJBLのBluetooth接続のスピーカー兼目覚まし時計が並べられ、枕元のキャビネットにはUSB接続の充電設備もある。

最上階には花の名前を付けた客室が設計され、その名は月下美人、月下香、夜香木、夜来香という、いずれも夜に開く花である。ゆったりした十分な広さで、革製のトランク、大きな金属製の照明器具、花などの静物の写真のインテリアが、控えめでモダンな雰囲気を添える。カプセル式のコーヒーマシーンや茶菓子、モダンなフォルムの椅子、2人が利用できるバスルームなど、スタイルにこだわる人にとって理想的な住みかとなる客室だ。

6:00PM 野毛

横浜でのディナーをどうするか?中心部には多くのショッピングモールやレストランがあってネットで検索すればいくらでも出てくるけれど、プロスタイル旅館横浜馬車道の周辺で探すのであれば、徒歩10分ほどの場所にある野毛という飲み屋街がお奨めだ。 野毛は昭和の雰囲気に満ちた歓楽街で、日中は静かなものの、夜になると多くのサラリーマンで溢れかえる。聞くところによると野毛地区には500から600ほどの店があり、和食から中国料理、バーまで何でも揃っている。古くから続く日本ならではの居酒屋に入るのが躊躇われるようであれば、比較的新しいレストラン・バーも多くあり、私はその内のひとつ、『野毛食道楽』を選んだ。2階建ての建物はおしゃれな内装デザインで、中には6軒の小さなお店が入っており、グループでの旅行であれば好みに合わせて別々のお店に入るのにも最適。

8:00PM ジャズ喫茶『ちぐさ』

野毛には日本最古のジャズ喫茶『ちぐさ』があり、ここは私が愛してやまない場所。心地よいジャズを、ウィスキーと共に。

Day 2 - 8:00AM レストラン『肉庵 小滝野』で朝食

朝食は1階にあるレストラン「肉庵 小滝野」で食べられる。洋風と和風から選べるが、せっかく日本に来たのだからもちろん和風だ。運ばれてきたのをみてびっくり、小さな石鍋の中にはなんと牛タンが三枚!牛タン鍋を朝食に食べられるなんて絶好のスタートだ。

10:00AM 神奈川県立近代美術館葉山館

2日目はレンタカーを借りることにした。荷物を預けてホテルを出発、三浦半島まで足を伸ばすアートの旅へ。まずは神奈川県立近代美術館葉山館へ。葉山館は御用邸(皇室の別邸)近くにあり、近代芸術文化を伝える美術館に改装されている。屋外に展示されている彫刻の大作はみな名だたるもので、中庭にはここを代表する、巨匠イサム・ノグチの作品がある。他にも空充秋や李禹煥、イギリスのアントニー・ゴームリーなどの作品もある。

併設されているカフェにも嬉しい驚きが。細長く伸びたガラスの箱のような空間は、相模湾の文句なしの海の景色に囲まれ、日本画のような富士山の姿が映え、帰りたくなくなるほどの美しさだ。

0:00PM 山の上ベーカリーでランチ

引き続き車を走らせ半島を東へ。横須賀市近郊の隠れ家的な人気の小さなお店、山の上ベーカリーへ向かう。遠くからはるばる人が訪れるほど魅力的なライフスタイルを感じよう。 京急本線の県立大学駅が最寄り駅となる山の上ベーカリーは、坂道の上にある100年の木造古民家を改造し、薪をくべるレンガの窯でパンを焼いているレストラン。日々焼かれる自家製パンのうち、丸々とふっくらした山食パンが特に人気だ。店内で食べられる数種類のランチは、パンの盛り合わせが付いている。小麦の香りに、木と薪の香りが混ざった空間で冬の日差しを浴びながら昼のひとときが楽しめる。

2:00PM 三渓園で癒しのひととき

横浜に戻る途中、「三渓園」に立ち寄る。製糸産業で富を築いた横浜の実業家、原三渓が1906年に公開した日本庭園で、20世紀初頭の横浜の繁栄を代表するものだ。広大な敷地の日本風の池泉庭園で、内苑と外苑を合わせて重要文化財など17棟の建造物がある。松の木やヨシ、春の桜、紅葉に、鏡のような静かな池は四季折々の風景を映し出す。ここは私の一押しの隠れ家的ヒーリングスポットだ。

4:00PM 元町・中華街でコーヒーハンティング

横浜を代表するショッピングストリートである元町と中華街の中でも、コーヒーマニアの私としては自家焙煎のカフェ2軒をお勧めしたい。元町にあるミカフェートMi Cafetoは、コーヒー豆のクオリティの高さが日本航空や星野リゾートなど有名企業が指名するほど。中華街のツキコヤ ビーンズ ショップは、アフリカや中南米の農園で生産された10数種の浅煎りのコーヒー豆を提供している。もう3度訪れたほど気に入っている。

5:00PM 旅のしめくくり

欲張りな私が、日暮れ直前に駆け込んだのは、黄金町駅の高架下を改造したアートがテーマの古書店、黄金町アートブックバザール。